マキ科マキ属。関東地方南部以西の本州、四国、九州、南西諸島に分布し、中国・台湾にも生育する針葉常緑高木である。裸子植物で雌雄異株。樹高は20mほどになる。樹皮は灰白色で縦に浅く裂けると肌色の内皮がのぞく。茎はまっすぐに伸び、枝先は上を向くが、大木になると枝先は下垂する。葉は細長いが、扁平で主脈がはっきりし広針形で長さ10-18cm、幅は1-1.5cmほどである。5-6月に花を咲かせ、雄花は黄色でひも状、雌花は奇妙な形である。果実は直径約1cm。紅白の団子を上下に並べたようで赤い部分はほんのり甘く食べることができる。屋敷林や畑の防風林に用いられるほか、庭園などにも植栽されている。北アメリカ南部でも庭木として利用され、クサマキとか、"buddhist pine"、"fern pine"などと呼ばれている。また、イヌマキが強い抗蟻性をもち、住宅の天敵であるシロアリに強いため、沖縄県では、古くから木造住宅の高級建築材として利用されることがある。国の重要文化財である中村家住宅等にも用いられている。